日本私立獣医科大学協会(私獣協)の 公務員獣医師確保に対する対応
はじめに
我が国の獣医師養成を担う私立5大学で組織する私獣協は、獣医師の養成を通して社会貢献を果たしてきました。しかし、時代とともに獣医師の活動の場も大きく変化し、それに伴い私獣協の活動も社会との接続をより強く意識したものでなければならないと考えます。
獣医師の職域が大きく変化していく中、我が国の獣医師の需給に関しては、全国的な獣医師総数は不足していないものの地域・職域偏在が認められることから、その解決のためには働きやすく魅力ある職場作り、処遇の改善等が必要であります。
私獣協はこの問題に対し、予てから農林水産省(畜水産安全管理課)や公益社団法人中央畜産会(家畜衛生対策推進協議会)と協働で産業動物医療に貢献する公務員獣医師の確保に取り組みそして処遇改善では一定の成果を上げています。今後は、この取り組みの更なる推進と食の安全に貢献する公務員獣医師の確保に厚生労働省、公益社団法人日本食品衛生協会などとの連携を持って取り組む必要がありますが未だ十分でありません。
以下、公務員獣医師の確保に関わる私獣協の使命と活動内容を提案します。
一般社団法人 日本私立獣医科大学協会
会長 谷山弘行
現状確認と私獣協の使命
- 生産動物医療に関わる公務員獣医師確保については、既に、農水省・中央畜産会・私獣協として在学生および高校生を対象とした対応策(獣医師養成確保修学資金貸与事業:地域枠)が整備され実施・展開中で成果を出している。(注1参照)
- 厚労省所管の保健所・食肉検査所など、食の安全に関連する公衆衛生領域の公務員獣医師確保の修学資金は十分に整備されていない。
(注1)
家畜衛生対策推進協議会「修学資金のご案内」 | 詳細を見る |
---|---|
獣医学生向け修学資金募集一覧 | 詳細を見る |
高校生向け修学資金 | 詳細を見る |
具体的提案
- (一社)日本私立獣医科大学協会は、公務員獣医師確保の為の獣医師養成の仕組みとして、獣医師養成確保修学資金貸与事業:地域枠入試の推進を各地方自治体と共に取り込む。
- (一社)日本私立獣医科大学協会は、食品衛生関連の公務員獣医師確保の為に厚労省に対し獣医師養成確保修学資金貸与事業:地域枠入試の導入の設置を働きかける。
- (一社)日本私立獣医科大学協会は、各自治体に獣医療体制整備に関する計画の作成を依頼し、必要獣医師数を予測し(既に、多くの自治体で実施済み)、関係省庁(農水省、厚労省)との間で情報の共有を図る。
- (一社)日本私立獣医科大学協会に加盟する私立5大学は、獣医師養成確保修学資金貸与事業での地域枠入試を拡大し、年間に必要な新卒獣医師数を上記3の情報から求め、その数に相当する入学希望者を地域枠として受け入れ、今後の公務員獣医師の確保に努める。
- (一社)日本私立獣医科大学協会は、関係団体に対し魅力と使命感をもてる職場の構築と処遇改善に関する案を具体的に提示する。
- (一社)日本私立獣医科大学協会は、より一層の獣医学教育の質の保証・向上の為に「獣医学教育学会」を立ち上げ活動を開始する。